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佐竹勝郎建築設計事務所と申します。


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もの、いきもの

近所に次大夫堀公園という農村風景を再現した民家園があります。奥さんは子ども達を連れてなんどか行ったことがあるのですが僕はまだ行ったことがありませんでした。どうせ大したことないだろうと思いながら、子ども達と散歩がてら行ってきました。

驚きました!

すごく本格的な古民家郡です。江戸末期から明治期の農村風景の暮らしぶりがみごとに再現されています。その中でも旧安藤家住宅主屋という屋敷があるのですが、この建物は圧巻でした。

おそらく明治期の建築だと思われます。最初にパッと目に入るのは茅葺屋根です。茅葺屋根の民家は何度も見たことがあるのですが、この民家の茅、たぶんつい最近葺き替えられたもので、新しかったです。葺きたての茅はなかなか見れたものではありません。30年から40年に一回の修繕だろうし、そもそも修繕してまで維持している建築はどれほどあるのでしょうか。長い年月を経て、土の色のようになり、苔まで生えてくれば立派なものですが、新しいのも素晴らしく良かったです。

屋内には囲炉裏もあり、炭も焚かれていて煙が天井まで登っていました。茅葺屋根には必ず囲炉裏がなければなりません。囲炉裏からの煙によって、雨で濡れた茅の乾燥になり、また茅が燻され防虫効果にもなります。

囲炉裏の上部には、竹で組まれた天井もありました。これも重要で、上昇気流による火の粉から茅を守る役割、煙が拡散され屋根全体にいきわたるようにする役割があります。煙で竹は変色していくことから煤竹と呼ばれます。

土間も立派だった。踏み固められた土の土間。農家の人にとって、この場所は仕事場でもあったわけですよね。内職をしたり、煮炊きをしたり。重要な生活空間です。見上げると、信じられないくらい太い梁が流れていました。あのうねりはきっと松ですね。

葺き替えられた茅葺屋根を見て感動したのは、単に建築としての美しさではなく、これを維持している沢山の人の姿が見えたからだと思いました。その瞬間、建築とはモノではなく、生き物だなと強く感じさせられます。

使えば使うほど成熟していく生き物。使い手がいなくなれば、つまりは手入れを怠れば、成熟とは逆に劣化し、最後には壊れ死んでしまう。毎日の手入れ、数年置きのメンテナンス、手間をかければかけるほど、愛着だって増すはずです。ロジックだけでは語れないから建築は面白いです。




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by satakearchi | 2018-02-13 01:43 | 子育て、暮らしのこと